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2018/11/06

櫻久 介護話短歌 (第五十五回) A版

          櫻久 介護話短歌 (第五十五回) その1

(コメント)
(1) 支部代表・副代表・若年性認知症責任者及び当日の司会者はそれぞれ実名
(苗字のみ)を表記します。
(2)〔〕の中にA若しくはBとあるのは、病態の時期の表示とします。
[A]=初期 [B]=中期 [C]=後期。
(3) 晩秋を刻む十一月の三回は、やはり技術畑の職務に集中し、成果を挙げていた
にも関わらず、認知症発病のため、定年前に職場を離れざるをえなかった夫君を、
懇篤心で支え続けた〔NDさん〕の介護体験を紹介します。
(4)前回と同じく、登録幅の関係で、歌の最初に「発言者の判別印」のみを次の様に
付すことにします。・◇印〜介護家族 ・◆印〜司会者 ・□印〜代表 
・▼印〜副代表 ・▽印〜櫻久の歌。但し時に〈実名〉を表示することがあります。

(27年3月懇談会から)
〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症初期)を自宅で世話〕(初参加)


◇初参加 61歳夫なり 前頭側頭型認知症の人

◇初受診 八ヶ月前 夫婦して 〔SN病院〕 脳外科へと行く

◇その際は 正式病名 告知なし けれども納得 “認知症では”と

◇振り返り 前から夫に 気配あり されども 当時は “齢(よわい)のせいか”と

◇初診 以後  病院受診す 月一度 その都度 受けたり 長谷川式スケール

スケールの 点数結果は マダラなり 高点だったり さえなかったり

◇夏 お盆 親族一同 親睦会 その時 夫は “無言を貫く”

◇親族は 夫の様子を 懸念する “ウツ病かしら”と 声かけもあり

◇病院の 主治医に この事 お話す 紹介されたる 〔SM病院*〕を
(*)SM病院=県域北部方面では名の通った病院で、〈精神科〉が知名度あり。

◇改めて 〔SM病院〕 受診して 正式 診断 前頭側頭型認知症 

◇先週は 介護保険の 通知あり 認定 受け取る 要支援1

◇昨年の 十一月まで   勤務する 夫は休職 十二月から


[杉山代表]

□〔NDさん〕 前頭側頭型認知症 それを思わす 症状 如何か?

□この型の 一つの特徴 症状は 《万引きまがい》の 反社会性 


〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症初期)を自宅で世話〕


◇夫(つま)既に チラつかせている 症状が 幾つかあるのは 気がついている

◇第一は 他人の言うこと “聞かぬ”こと 〈順番待つこと〉 “我慢出来ない”

◇もう一つ アブナイ症状 出す夫 赤信号でも  “平気で 横断!”

◇でも夫 《反社会的行い》は 今まで一度も 冒したことなし

◇《万引き》や 《他人の物など  持ち帰る》 そういう行為は 夫にはゼロ


[杉山代表]

□幸いに 夫君の病態 初期ならん 穏か状態 続くを期待す


A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕(初参加)

◇今朝 夫 6時に起床し 身支度す 今日のこの「会」 参加に備えて

◇黙々と 身づくろいする 夫なり 休職 以前と 少しも変わらず


[杉山代表]

□その態度 一つの《拘り症状》で この型 *特有 病態 表現
(*)この型=夫君の持つ前頭側頭型認知症のこと。

□今  夫君 《激越 症状》 出ていない  けれども この先 油断は禁物


〔A〕
〔NDさん(夫・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕


◇“有り難い”  夫に〈顕著な異変〉なく 《険しい表情》 一度とてなく


▽戸惑いも   迷いも静かに     収めつつ 〔NDさん〕の 《介護のスタート》

▽心底の 《温和な労わり》 基にして 〔ND夫人〕の   介護は始まる  


[杉山代表]

□一般に 《激しい症状》 示すこと 前頭側頭型認知症 多い例なり

□ごく稀に 割り合い穏やか 寡黙にて 《激しい症状》 示さぬタイプも

□〔NDさん〕 〔SM病院〕 処方する 《認知症薬》 どんな薬か?

 〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話・SM病院受診中〕


◇服薬は  メマリ一   一剤  処方受け 効果 有るなし 我には解らず

◇親族の  一人とメイルの    やりとりす 《夫の異変》は 此処に出てくる

◇親族の  重なるメイルに 返信を 怠る夫に 異変 確かに

◇メル友に 言われて私も    注意する 夫の日常 不審 幾つか


[杉山代表]

□大抵は 仕事を持ってる 若年期  異変は最初に “職場で現出”


〔A〕
〔NDさん(夫・前頭側頭型認知症初期・昨年12月から休職扱い)〕


◇おそらくは  職場で異変が    出たことも けれども通報 戴くことなく

◇元々は  決まった時間を 守る人 出勤・帰宅の 時刻も定時で

◇そう言えば  帰宅の時間が 極端に 遅くなること 何度か記憶す

◇こんな夜は  “職場でミスして” その補正 終えぬと帰れぬ 夫だったか?

◇《休職》の  キッカケ一つの    ミスによる  職場で失禁  突発したため


(27年5月懇談会から)
〔A〕

〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕(二回目の参加)

◇8月に 62歳となる夫 昨秋〈診断〉 前頭側頭型認知症

◇その前の 去年の4月に   気配あり 夫を伴い 〈通院〉始める

◇その前も  別に住んでる   〈娘〉言う “この頃〈元気〉が    ないわね  お父さん”

◇篭りがち   外出避けてる    夫なり 現職  時代と あまり変わらず

◇そのかわり 娘や私に 何時も言う “好きな処へ 行ってごらんよ”と

◇別に住む 娘が最初に 気付きしか 〈父の無気力〉 偶に会う時

◇“元気ない” 父を心配 我に言う “早く お医者に 診せてあげてよ”と

◇病名の 《前頭側頭型》 納得す キッカケ夫の 《運転ミス》から

◇運転の  夫に頻発 ミス操作  逆走 駐車で エチケット欠く

◇それまでの 《夫の律儀さ》 明らかに  崩壊気配が 私に伝わる

◇折りよくも   車検の期日が 到来し 時期かと覚えて “車を手放す”

◇介護度は  今年3月 要支援1 ケアマネは言う “要介護のはず”と

◇改めて 《認定区分》の    変更を 役所に申請  近く調査が

◇普段から 一つの事をば 黙々と 家でもするのが 夫の日常

◇そんな彼 《認知症の会》 開かれる 私が誘えば 黙って同道

◇これからは こういう「つどい」を 確かめて 夫を誘って なるべく参加を


[杉山代表]


□〔NDさん〕 夫君に出ている   症状で 《拘り》《取込み》 判別  如何か?


〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕

◇食物が 前にあるなら 大抵は 口にほおばり  “全部食べます”

◇万引きの     話は時々 耳にする  けれども夫は  “一度とて無い”

◇外出し 他人の物など 持ち帰る そのようなこと “決してしません”

◇それよりも 《怪しい行い》 家の中 〈私のお財布〉 “お金が減ってる”

◇わが家には   夫と私が居るだけで それでも “お財布 軽くなってる?”


[杉山代表]

□そうですか 《外での変事》が    ゼロは良い 家内の疑惑は “多目に見なさい”


〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕

◇でも  私  気になる夫の    黙然が お金のことなら “言えばいいのに”


[杉山代表]


□奥さんの 懸念はよくよく    分かるけど 《出テイク夫君》は もっと“心配!”

〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症)を自宅で世話〕


◇買物に 誘えば一緒に    附いてくる 家に居る時 《座禅 修行者》

◇時折りは 娘が実家に    やって来て 父親誘って 《行楽》連れ出す

◇時々の 親娘(おやこ)の行楽 “有り難い” 夫もして来る 《心の洗濯》


[杉山代表]

□病名が 前頭側頭型認知症 夫君の病態 《穏やかタイプ》か

□比較的 確率高いは 《行動型》 症状 噴出 激しい傾向

〔A〕
〔NDさん(夫・61歳・前頭側頭型認知症・家に引きこもり状態)を自宅で世話〕

◇テレビへの 関心殆ど 失せている 黙考  瞑想 夫は“満喫”

◇或る朝は 夫の姿が消えていて スーツを着込んで 出かけたと知る

◇行く先は 嘗ての会社と 推察し 早速  電話す 《夫のケイタイ》

◇ホッとする 夫は行き方 間違わず 会社に向かって    いること確認

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